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            非  原  理  教  会
              不良食口<おやぢ>の独白
                                                     1999/10/01  Vol.008
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こんにちわ、おやぢです。

連載「非フィクション劇場〜サイビジャンキー」第四回目です。
完璧なノンフィクションではありませんが、事実に基づいたリアルな内容です。
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              非フィクション劇場

          サ イ ビ ジ ャ ン キ ー
                             たつ せいぞう
■連載004■

・霊感商法(3)

  お待ちかね、やってきました日曜日。
 今日も先週と同じく10万円投資してみたのだが、結果は大ハズレ!かすりも
しなかった。これにはさすがのたっちゃんも青くなった。

「封印を解いたのに、なぜ効果がないんだ!?」

「このシールは封印のはずだが」

  「そうに違いない。きっとそうだよな」

    「そうなんじゃないかな」

      「そうあってほしいなぁ・・・」

・・・そう思い込まずにはいられなかった。


「こりゃ、騙されたかなぁ」(気づくのが遅いちうの!)
「んー、くやしいな、返そうかなぁ」
「ん?まてよ。そうだ、佐藤大工に売っちゃうべぇ」
 早速次の日現場で、草加から来ていた型枠大工の親方に話を持ちかけることに
したのだった。自分でも機転が利くなあ、グッドアイディアだなぁ、と思った。

「佐藤さん。美術品に興味ないっすか?」
「なんだよ、おめえ、なに売りつけるつもりだ?」
「大理石の壷なんすけど、古賀政男も持ってるらしい、いい壷なんすよ」
「ふーん、いくらすんの?」
「200万」
「なにぃ、にぃひゃくまあーん?ばかやろ、んなもん買うか!」
 目がマジで怒っていた。やっぱりだめか。トホホ・・・
 
 それで、とうとう彼女に電話でクレームをつけることにした。
 現場では、このやろう、てめぇ、ばか、こんちきしょう、すっとこどっこい、
というような罵声が飛び交っていて、聞いたり言われたりするのには慣れている
のだが、人を脅かしたことなどないぼくは、精一杯ふてくされた物腰でクレーム
をつけてみた。

「ぜんぜん、いいことないんすけど、どうしたんすかねぇ」
「ぼくの部屋、どろぼうから入られるし、車、運転してたら追突されたりとか、
お金だって出ていくだけっすよ。なんにもいいことないじゃないっすか」
 どろぼうも追突も、方便で言ってるのではない。実際あったことだ。
(しかし、どろぼうも目もくれないという、高級美術工芸品って一体、何?)
 その事件がますますお壷さまに不信感を募らせる要因となった。
 ぼくとしては、彼女に精一杯のクレームをつけたつもりだった。
 が、彼女の口からは予想もしないこたえが返ってきた。
 やけに明るい声で

「そうですかぁ。でも追突だけでよかったですね。命が無事だったのはお壷さま
のお陰ですよ」
「へ?」
「もし授かっていなかったら、命を落としていたかもしれませんよ」
「どろぼうに入られたのも、なにかの警告ですよね」
「たとえば、大難の前の小難のような・・・」
「もしかしたら、工事現場でクレーンが倒れてきて、下敷きになってしまうかも
しれませんよね。足場から落ちてしまうかもしれませんよね」
 たしかに。現場は常に危険があぶない。
「ですから、どろぼうに入られたことで、大難を防ぐことが出来たのかもしれま
せん」
「これもお壷さまと、ご先祖さまのお陰なんですよ」
「あ、そうだったんですかー」
 ぼくは、妙に納得してしまった。
「じゃ、今度こそ、いいことあるんすかねぇ」
 さっきまで入っていたブルーはどこかへ消えていた。

※その後のぼくとお壷さまの関係はというとですね。実は寮が火事になってしま
いまして、そのドサクサに紛れてお壺さまはどこかへ行ってしまったのです、は
い。きっと土に還ったのでしょう。

 火事に遭って、ぼくは思った。
 お壷さまのお力で大難を小難にしてくださったのだろうか。とゆーことは、火
事で焼け死ぬところだったということなんだろうか。うわぁー、こわいなー。そ
う考えるとありがたいなー。お壷さまあー。うう・・・(歓喜の涙)
 このように、どこまでもどこまでもプラス思考のたっちゃんだったのである。

 だがまてよ。そういえば・・・「酒田の大火のときでさえ、私の家だけは燃え
なかったんだっス。ホントにお壷さまのお陰だっスぅ」とかなんとかいう体験談
のビデオを見たことがあったような気がするぞ。
 この記憶が蘇ってきたのはズーッとあとのことだった。時すでに遅し。

  お壷さまに聖なる神秘のパワーを感じて(信じ込まされて)いたぼくは、俗に
言う『おつぼさま教』の信者のようなものだった。売った側からすれば、優良顧
客になるのだろう。(いいカモという説もある)

 その後、『生水』とかいうビンに入った炭酸水を売りにきた。ちなみに "なま
みず" とは読まず、せいすいと読む。いかにも胡散臭そうな"聖水"と書くより、
生きた水ということで、飲めば元気になりそうなネーミングだ。(どこが!?)
なんでも韓国の有名な鉱泉だそうだ。早速、勧められるままに、サンプルを飲ん
でみると_________
「まずーーーーい!」(こころの叫び)
  夏みかんに重曹をつけて食べたときのあの忌まわしい記憶が蘇ってきた。
そう、あれは小学生の時分、重曹をかけすぎた夏みかんを食べ過ぎて、ゲロして
しまった思い出がある。あのいやーな感覚は今でも忘れられない。
生水は、あの「しゅわしゅわー」な味そっくりだったのである。

「あんまり、うまいとは思わないっすけど」
「そうですか、最初は皆さん、飲みづらいというんですが、慣れてくると病みつ
きになるそうですよ。なんといってもミネラル分が豊富、健康にいいですからね」
  結局、巧みなトークに畳み込まれて1ダース買うハメになった。

  しばらくすると今度は、姓名学の先生とやらを突然連れてきた。無料で姓名判
断をしてくれるらしい。占いは好きなので断る理由はない。
「こちら、天水先生といわれまして、姓名学の専門家です」
「てんすいです。よろしくお願いします」
男の先生で、黒ぶちの眼鏡をかけたやせこけた貧相な人だった。歯も少し出てい
る、顔色も悪い。一応スーツは着ているが、襟が汚れているし、ヨレヨレだ。岩
下志麻から、しゃきっとせんかい!などと怒鳴られそうな身なりである。肩に落
ちている"フケ"もたっちゃんは見逃さなかった。ま、人を見かけで判断してはい
けないので、いかんいかん、などと反省しながらポジティブシンキングして先生
の話を聞く体制を整えた。

  で、先生はというと、慣れた手つきで画数をしゅるしゅるさっさとレポート用
紙に書きながら、画数の意味なぞを説明しはじめた。ところが画数を目で追って
いくと龍の画数がちょっと違っている。十六画のはずなのに十七画と数えている。
「あのぉ、先生、ちょとすみません。たつっていう漢字の画数なんすけど、ちょ
っとちがうんでないすか」
「あ?どれどれ。いーちにいさんしーいごおろくひちはち……ん?…」
「あ、いや、私の流派はですね、この画数でと、とってるんですよ…ゴホン」
「あぁ、そうなんすか」

 どうやら、画数の数え方を先生が間違ったと思ったのはぼくの思い過ごしらし
い、流派によって画数の取り方が違うことを知って、ひとつ利口になったような
気がした。でも、お壷さまの先生の画数の数え方と違うのはどういうことなのか
な?と思ったが深くは考えない様にした。きっとお壷さまの先生とは流派が違う
のだろう。

 しかし、次の言葉には驚いてしまった。
「たつさん。今、凄い転換期ですねぇ」
「はぁ!?、お壷さまの先生も同じこと、言ってました」
「…殺生因縁と色情因縁と財因縁が出てますね」
「は、あ…」
 なんだかお壷さまの先生と似たような話をしているなー、と思った。が深くは
考えないことにした。

「姓名の姓という漢字は女から生まれると書きますよね。女から生まれる、つま
り姓名は生命、いのちを表しているのです。たつさんが生まれたのはお父さんと
お母さんがいたからですよね。その父母もその父母、つまり祖父母がいたから生
まれたわけです。その又父母のまたまた父母と辿っていくと、相当の人数のご先
祖さまがおられることがわかると思います。結果として、たつさんがこの世に生
まれたのはご先祖さまという原因があったからですよね。ですから、ご先祖さま
のいろいろなものを受け継いでいるのです。よく、名は体を表すといいますが、
名前を見ればご先祖さまのことがわかります。良い種からは良い実がなりますが、
悪い種からは悪い実しかできません。原因がわかれば結果がわかるし結果を見て
も、因縁などというと八つ墓村のような恐ろしいイメージを浮かべますが、そう
ではありません。因縁には良い因縁と悪い因縁があるのです。八つ墓村は悪い因
縁の例ですね。『因縁果報』という言葉を聞いたことがあると思います。『因縁
果報』の因は原因の『因』、縁は血統、血縁の『縁』、果は結果の『果』、報は
"親の因果が子に報いー"ってありますけど、因果応報の『報』です。原因が結果
にあらわれて、報いを生じるということですね。たつさん。どうですか、わかり
ますか?」

 やっぱり、人は見かけによらないものだ。冴えない風貌の先生だったが、しゃ
べりはじめると、立て板に水の如く流暢に話す。意外に話は上手い。ぐいぐい引
き付けられるようだ。

「…ですから、結果としてあらわれた名前を通して、原因である先祖を知ること
が出来るのです。画数には吉数と凶数がありますが、吉数が良い因縁を、凶数が
悪い因縁を表しています。たつさんの場合、ほらこの吉数がご先祖さまの功労を
表していますから、世のため人のために尽くしたかたがおられるのです。それと
、凶数と凶数を結んだこの線。この線ことを因縁線と言って、いろいろな因縁が
わかります。これは悪因縁を表しているのです。たつさんの名前を見ると『殺生
因縁と色情因縁と財因縁』が出ていますね。先祖に悪い原因があれば後孫には必
ず悪い影響が出てきます。丁度、種と実の関係ですよね。種が悪ければ実も悪い
のです。たつさんの家系はお武家さんの血統なので、人を殺めています。刃物で
傷つけてますので、その結果として体にメスが入ったり、脳の血管がぶちぶち切
れたりする、ほらちょうど刃物で血管を切ったようになる脳溢血になったりする
んですよ…」

そういえば、ぼくは、小学校に上がる前にだっちょうの手術をしているのだ。じ
いちゃんは脳溢血で亡くなった。当たってる…。
おそるべし天水先生。


--------------------------------------------------------つづく----------


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〜〜 おやぢのつぶやき 〜〜

悪徳商法には必ずと言っていいほど、統一教会の連中が絡んでいるんだよなぁ。
KKCは周知の事実。古くはファックスネットを築こうとしていた「グッドライ
フ」これがおかしくなってつぶれ、その残党が「かもめサービス」になだれ込ん
でいったんだよなぁ・・・


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