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            非  原  理  教  会
              不良食口<おやぢ>の独白
                                                     1999/09/25  Vol.005
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こんにちわ、おやぢです。
ペンネームは <たつ せいぞう> です。たっちゃんと呼んでください。

今回の配信から数回にわたり
「非フィクション劇場〜サイビジャンキー」をお届けいたします。
完璧なノンフィクションではありませんが、事実に基づいたリアルな内容です。
おやぢの人となりをご賞味ください。

※今回初めて受信されたかたは、↓バックナンバーをご覧ください。
http://bn.lib2.com/backnumber/frame.cgi?id=0000017648
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              非フィクション劇場

          サ イ ビ ジ ャ ン キ ー
                             たつ せいぞう
■連載001■

・はじめに
 Truth is stranger than fiction.  事実は小説より奇なり。
         リアルな体験はフィクションに非ず(あらず)

 この体験談は、お人好しの土木青年のぼくが某カルト教団でケツの毛まで抜か
れ、やっと目がさめたときには莫大な借金を背負っていたという、なんとも情け
ない超典型的騙されパターンから始まります。
 しかし、これではいけない!と一念発起して起業家を夢見ながらさまざまなサ
イドビジネスを手がけたのはよかったものの、気がついたらますます貧乏になっ
ていた・・・という可笑しくも悲しく生々しい実態が浮き彫りにされています。


 巷では、将来に備えてサイドビジネスをやっている人が多いと聞く。だが、
「貴方の今までの年収額が、月収に変わるビジネスです!!」
 などと景気のいいことを言ってるわりには、やってみると経費が年収に近づい
てしまったりするものだ。(体験者は語る)
 男なら誰でも思うのではないだろうか。金持ちになること、一国一城の主とし
て独立すること、起業家になることなぞを。

 ぼくは一生サラリーマンなんかで終わりたくないんだ。こんなに能力があるの
になぜ上司はわかってくれないんだ!給料だって安いし。ぼくにいわせれば、あ
んなもの大した仕事じゃない。ぼくにやらせてくれたら、もっと実績あげられた
のに。そんなもの自分でやったほうがはやいって。
 ん?まてよ、あっそうか、独立すればいいんだ。なあんだ、そうすれば思う存
分能力を発揮できるじゃないか。なんでそんな簡単なことに気づかなかったんだ
ろう。僕っておばかさん。よぉし、会社をつくるぞ!社長になるぞ!儲けるぞ!
うおおぉーっ。
 よくこんな奴がいる。困ったものだ・・・すっかり気分はビルゲイツ状態。

 ぼくの場合、おとなしく土方をやっていれば、今ごろ土建屋のおやじくらいに
はなっていただろうが、どこかで歯車が狂ったらしい。サイドビジネスに手を染
めたばかりに儲かるどころか、銭を失い貴重な時間と青春を失ったジャンキーな
男。日本中探してもこんなアホな男はどこにもいないだろう。
 キャッチ商法、霊感商法にはじまり、次々商法、ねずみ講、マルチ商法、ネッ
トビジネス、ありとあらゆる怪しいビジネスを体験した「バカお人好し」が過去
を回想しながら告白する、驚愕の実態の数々。
 それでは、非フィクション劇場を最後まで存分にお楽しみください。


・プロローグ〜サイビジャンキーへの道
 十七の春だった。雪まだ残る山形から、東京に出てきたのは・・・
 しぇんしぇ(先生)が言ってた。
「東京てば、オッカネェどごなんだぞい。とぐに、ワリイ女さ気ぃつけろよ」
 ぼくは、足立区の土建屋で一所懸命働いていた。
 そこは、盆、暮れ、正月くらいしか休みのない忙しい(労基法なぞ関係ない)
とこだった。背広を作ったものの、なかなか着る機会もない。憧れの東京を満喫
することもできなかった。
「たつっ!チンタラしてんぢゃねぇ!気合入れて穴掘れ!コノヤロ」
「オラオラ、腰入れて!こうだ。ちゃんとやれ、このバカ」
「おうおうっ!型枠パンクしたぞー。たつ!バケツでコンクリ、カッパげい!」
 親方の罵声が容赦なく飛ぶ。

 仕事が終われば毎日酒盛りだ。そう、あの山谷ブルース(ふ、古い)♪今日の
仕事はつらかったぁー・・・あとはー焼酎をあおるだぁけぇー♪の世界である。
 雨がふれば、朝から酒かっくらって、花札マージャンチンチロリン。土日はも
ちろんおンマちゃん、片手にツルハシ、耳はラヂオに釘付けさ!てなものだ。ぼ
くは土とコンクリにまみれながら、酒と博打に明け暮れていた。青春だった。
 ある時、珍しく休みがとれたので、ショウノウ臭い一張羅の背広を着て、花の
銀座に出かけることにした。たっちゃん上京して3年目、はたちの春である。
 もの珍しそうにキョロキョロしながら銀ブラをきめていると、一人のオニイチ
ャンが目の前にあらわれた。

「映画に関するアンケートをお願いします」と頼まれたので、小学六年生から献
血をしてるぼくとしては、お安い御用と快く受けることにした。
 一通りアンケートに答えると今度は映画を無料で見れたり、いろんなサービス
がついているとかいうチケット綴りをを薦められた。なんでも一冊3000円ら
しい。
 へぇーそりゃお得だな、そいじゃ友達の分もと3冊買った。
 今でこそ、そりゃインチキだ!とすぐわかってしまうこのぼくだが、当時は純
粋無垢な好青年ゆえ、人を疑うことなど全く知らない。
 そういえば、じいちゃんは連帯保証人になって借金をそっくり被ってしまった
経歴の持ち主だったそうだ。そのせいだろう、自慢じゃないが、ぼくはよく「人
が好いねぇ」と誉められたものだ(苦笑)

「たつ、おめぇって人がいいんだなぁ」
「金もたくさん持ってるし。ねっ、たつセンセ」
 親方と先輩が羨望のまなざしで言う。
「いやー、そ、そうでもないっすよ」
 フッ、よせよおい、そんな・・・ぼくの寛容な人格にあらためて感動されちゃ
っちゃあ、照れるじゃないか。

 英会話のセットを買った。恋人紹介センターの会員にもなった。競馬丸秘必勝
法も買った。しあわせの壷は買ったし、開運の印鑑も買った。あれも買った、こ
れも買った・・・
「ぼく、いいもの買ったんすよ」
 仕事を終え、飯場で一杯やりながら、ぼくは得意になってその商品の説明をし
ていた。
 いまだから告白しよう。実はつい最近まで『人が好い』を誉め言葉と思ってい
たオメデタイ人だったのだ。
 ぼくって、セールスマンやマルチ商人、はたまた新興宗教の勧誘をするには格
好のカモだったのだろうな、きっと。とほほ・・・


「東京てば、オッカネェとこなんだぞい」
 気がつくと、しぇんしぇの言葉は遠い過去のものとなっていた。
 そもそも、なぜぼくがサイビジャンキーになったのかといえば、土方以外に副
収入が必要となったからである。
 まじめに土方をしていれば食うには困らなかったにもかかわらず、副収入が必
要になってきたのは、他でもない、借金地獄に落ちたからである。
 自分で作った借金ならあきらめもつくが、お人好しの上にバカがつく『バカお
好し』なものだからサラ金の名義貸しをしてしまったのだ。これが引き金となっ
て地獄に転がり込んでいくことになるのであった。

 借金地獄に落ちた決定的な原因はサラ金に手を出してからだが、下地となった
のは実は、カルト的宗教団体との関わりなのである。
 お布施という名目で金は吸い上げられるわ、布教という美名のもとに人狩りを
暗に強制させられるわで、これに関わったらケツの毛まで抜かれるとは良く言っ
たものだと思う。
『○ムウ○イ教』などと揶揄されるように、基本的にぼくは、ネットビジネスも
あやしい新興宗教も、同じカルトだと思っている。
 信者もディストリビュータも
『教えられたことを素直に信じている』こと
『絶対視している』こと
『自分達の世界以外を蔑んでいる』こと
『きれいごとをいう』こと
『自分の価値観を押し付ける』こと
『熱狂的であること』こと
『平気でうそをつく』こと
『人の意見進言に耳を貸さない』こと
『まともな話し合いができない、議論にならない』こと
 等などがその理由である。(もっとあるがキリがない)

 豊田商事事件がおきたのは昭和六十年(1985年)だったが、それと同じ頃
霊感商法というのが流行っていた。
 ぼくは年寄りではなかったので、豊田のセールスマンから勧誘を受けたことは
ない。そのかわり、ずーっと以前から朝鮮人参エキスからはじまって、幸福の壷
、開運の印鑑、などを次々と買っていたおとくいさんであったのだ。もうこの時
点で『霊感商法』と『次々商法』に引っかかってしまっていたってわけである。
 サイビジャンキーへの道はここからはじまった。
 霊感次々商法で金を取られて貯金もなくなったころ、カルト教団でボランティ
アのような真似事をしているうちに、世のため人のために生きる!為に生きる!
なとど分不相応なことをやり出し、ますます貧乏になっていった。
 そうしているうちに今度は、知人からサラ金の名義貸しを頼まれた。親から借
りた金を又貸ししたこともある。『バカお人好し』は借用書など書かないから、
結末はもうお分かりだろう。

 時は流れ________________
自分の足元も固まっていない奴が世のため人のためなど出来るわけがない!
『バカお人好し』は少し目が覚めた。
 バカがとれて『天然お人好し』になった。ボランティアなどやってる場合じゃ
ない。家族のために頑張らねば!そう思った。
 だが、気づくのが遅かった。その頃は、もう親方、呆れてモノが言えない状態
。仕事にならない奴をおいておく訳にはいかない。自然と『脱ドカタ』になった
、てなわけである。さあ、いよいよ起業家の道を歩む時がきたのだ。
 その時、負債総額1,200万円。四人家族を養うには少々荷の重い、決して
メデタクナイ船出ではあった。

 さて『脱ドカタ』したのはいいのだが、何をしたらいいのやら・・・。
 起業家になりたいのだが、何をやりたいのか(やるのか)わからない間抜けな
状態だったのである。そこで、巷に溢れる起業、独立、ビジネス情報誌を片っ端
から集めて情報収集することにした。
 これがきっかけで、宗教カルトと縁が切れたと思いきや、今度は経済カルトに
引きずり込まれるとは誰が予想しただろうか。サイビジャンキーへの道、泥沼に
ハマるのは実はこれからだったのである・・・(涙)
                    
--------------------------------------------------------つづく----------


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〜〜 おやぢのつぶやき 〜〜

◆教会生活のの思い出

・昇龍組?

そういへば、古田コマンダーが昇龍組ってえのをつくってたよな。
天龍組だったか?ま、組の名前はどうでもいいけどよう。
霊感商法たけなわのころ、な。
反対する人たちを脅かすためにつくったんだよな。
こんとき、古田コマンダーっていう兄さんはチンピラなんだなぁとおもったな。
チンピラごっこをしているヒマがよくあるもんだとおもったな。
高校生レベルだな。


・消費者センター

消費者センターに、消費生活アドバイザーかなんかを送ろうとしていたよな。
もちろん、霊感商法の苦情をもみ消すために、な。
婦人部の奥様連中から選ばれて、勉強させられていたんだよな。
実際、もぐりこんだかどうかはおらしらねぇが、まさか電話口でそのおつぼさま
は価値があるとおもわれますよ、なんていわせようとしたのかなあ?
それとも、「感謝している人はたくさんいますよ」なんていわせようとしてたの
かなあ。

ところで、消費者センターには「わだす、商品を買って感謝していますう」など
というよろこびの声もあるものなのか、ぼくにはわかんないんだなあ。


・クレジットカード
ジェーエフシーという会社のキャッシングカードを作らされたことがあったなあ。
自発的なぼくもハナセン(木製の指圧器)やこのカードのように古田コマンダー
からの組織的方針からは逃れられなかったから、あえて、つくらされたと表現す
るんだけど、それ以外はすべて自発的にやっていたので、〜させられたとはいい
ませんけれどね。
もちろん!おつぼさまや印鑑、人参茶はぼくの意思で買いましたんで。念のため。

借金してまでもお金をつくれーーー!という時代は、それはもう、名義貸しまし
たよ。だって、困っている人をだまってみていられないじゃ、ないですかぁ。
その後、借りては返し、また借りては返しの繰り返しで・・・・
で、つい最近、返済おわりました。


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